ある日「モトローラ」でググると「モトローラ どこの国」とサジェストされました。モトローラと言えば最近はコストパフォーマンスが良いスマホをリリースしていますが、今ひとつ実態がピンとこないところもありますよね。そこで今回はモトローラや、同じく誤解されがちな(?)ASUSなどが、どこの国の会社なのかをまとめてみました。
巧妙に隠していますが。。。「レノボ(Lenovo)」
レノボのノートPCはデザインが良いと思います。どのメーカーも天板のど真ん中にでっかくメッキのメーカーロゴを入れたがりますが、レノボのノートPCは端っこに小さくモノトーンで入れています(Yogaのロゴはなぜか大きいですが) 最近ラインナップされているファブリックの天板もおしゃれだと思います。ThinkPadシリーズも根強い人気がありますよね。総じてセンスが良いと思います。
しかし、実はレノボはバリバリの中華企業です。私は以前、デルやHPとひとくくりにアメリカのPCメーカーと勘違いしていました。過去にはプリインストールのアドウェアに重大なセキュリティホールが問題になったことがあります。このセキュリティホールはPCの暗号通信に関わるもので、レノボのバックドアではないか?とまで言われました。
NECや富士通のパソコン事業、後に説明するモトローラなどは、資本的にレノボの傘下です。他の企業だと買収した企業は自企業の色に染め上げようとするものですが、レノボの場合はレノボを前面には出さず、元のブランドを維持します。NECや富士通の一部のPCがレノボ製であるということを知らない人は多いのではないでしょうか?良く言えば元のブランドを尊重している。悪く言えば隠れ蓑にしていると言ったところです。個人的にはうまくやっているなぁと思います。
中華企業ですので、今ひとつ信用できない感じはあるのですが、アドウェアの一件以降は問題もおこしていないようですし、アメリカ国防省に名指しでヤイヤイ言われるファーウェイやシャオミなどに比べると、全然マシなように思うのは、やはりレノボの戦略に乗せられているのでしょうか?(笑) でもまぁ、ノートPCはデザインが良いので買っちゃうこともあるかもしれません。
まさに紆余曲折「モトローラ(Motorola)」
モトローラは若い人だと「コスパの良いSIMフリースマホ出してる会社でしょ?」くらいの認識だと思いますが、私くらいアブラノノッタおっさんになるとかなり認識が変わってきます。というのも数十年前のモトローラは今のGAFAどころではないレベルの会社だったからです。
例えば古いところで言えば、人類で初めて月面に降り立ったニール・アームストロングの「一人の人間にとっては小さな一歩だが、人類にとっては偉大な一歩だ」というアレはモトローラの無線機で地球に発信されました。
1990年代には携帯電話のシェアは50%以上(現在のiPhoneのシェアは30%程度です)、また半導体も強く、MC68000と聞くとピンとくる人は多いのではないでしょうか?そうです。あのX68000のCPUです。更にMACのことを「インテルMAC」と呼ぶことがありますよね。最近はアップルシリコンとの区別で使われている感じですが、アップルシリコンが登場する前から「インテルMAC」という単語は日常的に使われてきました。つまりインテルではないMACがあったのです。15年ほど前に、MACのCPUはインテル製になったのですが、それまでのMACのCPUはApple、IBM、そしてモトローラが共同開発したPowerPCでしたし、更に前にはMC68000系列のCPUでした。
近年だとスマートウォッチ創世記に丸形の盤面で話題になったmoto360など、衰退したといってもキラリと光る製品をリリースしたりします。
脱線してしまいましたが、本題の「どこの国の?」というのはアメリカ合衆国の会社になります。ただし紆余曲折ありまして、まずモバイル部門はモトローラ・モビリティとして分社しています。その後にGoogleがAndroidスマホ開発のために買収しますが、2年も経たないうちに【特許を取り上げた上で】レノボに売却されました。神は相変わらず容赦ないですね。。。
つまり、モトローラは今もアメリカの会社ではあるのですが、親会社はレノボです。レノボは上で説明したように立派な中華企業です。モトローラの本社はアメリカにありますが、生産・販売はともかく、研究開発の拠点も武漢に開設したという報道がありますので、アメリカ・モトローラの名前を買い取った実質的には中華スマホと言えるでしょう。
ただ、個人的にはその歴史に対する思いや、あくまでもアメリカ籍の企業であるということで、一般的な中華スマホとは別に捉えています。いやそう思いたいという単なる願望かもしれませんが。
どこまでが中華?「エイスース(ASUS)」
ASUSをググると「ASUS 危険」などと物騒なサジェストが出てきたりします。なんだろうと思って見てみると「ASUSは中華スマホだから危険ですよね?」みたいなのが出てきて笑ってしまいました。どうも中国と台湾の区別がついていない人というのはそこそこ存在するようですね。
台湾が中国か?台湾は国か?というと、確かに微妙な話になります。台湾の歴史やなぜ親日なのか?はとても面白い話なのですが、長くなりますし脱線し過ぎですので、ここでは割愛します。しかし、少なくとも現在、中国と台湾をそれぞれ統治している政府は別です。最近「台湾有事」という単語を聞くことがあると思いますが、端的に言えば「中国が台湾に武力侵攻すること」を指しているくらいですので、中国と台湾は敵対関係です。
中国の国名が「中華人民共和国」で、台湾の国名が「中華民国(台湾に改名しようという動きはある)」ですので、字面的にはどちらも中華なのですが、台湾のメーカーであるASUSの製品がいわゆる中華であるか?と問われれば、これはNOと言えます。
先にも記載したように、台湾は新日国です。特に近年はお互いに仲良くしましょうという機運が高まっています。その台湾を代表するメーカーのASUSが製品群のブランド名に「Zen(禅)」と名付けてくれているわけですので、日本人はもっとASUSの製品を買っても良いと思いますね。そういったことを別にしても、ASUSの製品はどこかギークに響くものをハイコストパフォーマンスでリリースしていると思います。
Zenbook Pro Duoシリーズはとても独創的で唯一無二ですので、いつか入手したいと最初期から注目しています。
HPとかDELLとか
HP(ヒューレットパッカード)やDELL(デル・テクノロジーズ)は純然としたアメリカの会社です。どちらも業務用のイメージが強く、特にDELLは個人用のPCでも地味な筐体で安いイメージのメーカーでしたが、近年はXPSシリーズなどデザイン面でも台頭してきました。XPS Plusはシンプルでとてもかっこよくて個人的にも欲しい一台です。ちょっと高価過ぎるとは思いますが。
HPも地味なイメージですが、Spectreシリーズは黒の筐体にゴールドの挿し色がとても高級感があります。ただ、こちらもちょっと高価で、MacBookと比べると競争力がないような気がします。
HPは直販モデルが多く、Amazonにはあまり出品されない感じですが、公式サイトにて年がら年中セールをしている感じがしますので、覗いてみると良いと思います。
え!マジで世界シェアNo1?「TP-Link」
2016年に日本市場に進出してから急激に国内で存在感が増したTP-Linkですが、無線LANルーターのシェアは世界No1だそうです。Amazonで見ていても無線LANルーターはTP-Linkの製品が一番目立っていますし、実際に価格に対するスペックもぬけています。私はTP-Linkの無線LANルーターは所有していませんがスマートコンセントを使っています。6つくらい使っていますが特にトラブルもなく、やはりコストパフォーマンスに優れています。
そのTP-Linkですが普通に中華です。こちらもイメージ戦略が上手く、なるべく中国企業であることを表に出さないようにしています。実際に公式HPを見ても、そこから中国の企業であることを読み取るのはかなり困難なようになっています。Googleで「TP-Link」を検索すると「TP-Link やばい」とサジェストされてしまうのですが、近年で問題になったのが下の件です。
1秒に1回送信しているという事ですが、世界シェアNo1の無線LANルーターから1秒に1回もの頻度でパケットを送信されたら、受信するAviraのほうがパンクするような気がしますが。。。何れにしろ、この件は悪意のある通信ではなさそうですし、ファームウェアアップデートで解決するとのことです。
AmazonでTP-Linkの無線LANルーターを見るたびに、対象のルーターを購入してファームウェアアップデートする前にパケットキャプチャしたら面白そうだなと思うのですが、今使用しているASUSのルーターがまだ元気なので。。。
WiFiルーターのAmazonランキングではバッファローが強く、ちらほらとTP-LinkやNECが混ざる感じです。無線LANルーターは性能や機能などが細かく異なりますので単純に比較するのは難しいのですが、上記のようにTP-Linkとバッファローの普及帯の同クラスの製品を比較すると、元値は同じくらいですがTP-Linkは年がら年中セールしている状態なのでTP-Linkの方がかなり安価に入手できるのは確かです。
みんな大好き「Anker」ですが。。。
レノボやTP-Linkがイメージ戦略が上手いと書きましたが、もっとも上手くやったのはAnkerでしょう。「元Googleのエンジニアが起業した」というのを前面に押し出して、現在では充電器・モバイルバッテリーでは確固たる地位を築きました。日本での展開はAnkerジャパンでラッピングされていますので、まるでにおいを感じさせませんが、Ankerは会社の所在地も深センですし、元Googleエンジニアである創業者(現代表)も名前や経歴から見るに中国人だと思われます。
純然たる中華であるわけですが、Ankerはちゃんとした製品をちゃんと販売しようと努力する会社で、特に当時の中華製品は典型的な安かろう悪かろうで、おまけにサポートどころかすぐにバックレるといった商売をしていましたので、Ankerは中華企業としては異色だったと思います。
製品も最初のころはそれなりに不良品があったようでしたし、実際に私も不良品をつかんだことがありますが、サポートに連絡するとすぐに代替品が手配されました。最近は中華でもサポートが手厚い会社が増えましたが、これはAnkerの成功を目にしたためと思われ、ユーザーを騙すよりも信頼を得る方が成功につながるということを示した同社の功績と言えるのではないでしょうか。現在では、同カテゴリーのデファクトスタンダードとなったことで、出荷数が多く資本もありますので、自ずと製品クオリティも高いレベルにあると思います。最近はパステルカラーも用意されておしゃれになりましたね。
個人的には「Anker最高!」「Anker一択!」とまでは思いませんが、他のよくわからない中華製品を買うよりは、「たいして価格差がある訳でもないのだからAnker買っとけば良いでしょ?」と思っています。
最近よく見るようになった「CIO」
USB充電器やモバイルバッテリーの界隈でCIOというのを目にするようになりました。CIOは大阪で日本人が企業した純然たる日本企業です。クラウドファンディングで従来の製品を凌駕するスペックの製品を公開し、目標額を大きく上回る金額を集めたことで注目されました。
実際に評判も良く、単純にスペック表を見比べてもAnkerなどの既存の製品を上回る高性能ぶりです。モバイルバッテリーやUSB充電器などのモバイルガジェットでは、長らく続いたAnkerの1強体制が崩れるような予感がします。このあたりは宣伝次第というところはありますが。
私も気になりましたので、20WのPDに対応したコンパクトなUSB充電器と、30WのPDに対応したモバイルバッテリーを入手しました。
創業者には中国人の血が「Nothing」「CMF by Nothing」
新興の「Nothing Technology」や、そのサブブランドの「CMF by Nothing」については下記の記事にて紹介しています。
中華製品とMade in Chinaは違う意味です
最後に少し脱線です。しばしば、Maid in Chinaという記載をみて「なんだ中身は中華か」などという人を見かけるのですが、中華製品とMade in Chinaは意味が異なります。Made in Chinaはあくまでも工場が中国にあるというだけです。どこで組み立てようが、中国以外のメーカーが、そのメーカーの基準で開発し、そのメーカーの基準でクオリティーコントロールしている製品は中華製品ではありません。そんなことを言ったらiPhoneだって多くの日本車だって中国の工場で生産されている訳ですので、中華製品になってしまいます。iPhoneも一部から中国製品と言われてクックCEOがキレてましたね(笑)
このように、意外と隠れ中華が多いのが現状です。メーカーを信頼はできても中国という国が信用できないという側面はありますが「一般人がそこまで気にしなくても良いのでは」と考えるか、「通信機器はちょっと気持ち悪いなぁ」と考えるかは人それぞれでしょう。もちろん、ASUSなどの親日国のメーカーや、CIOのように良い製品を送り出している日本のメーカーは優先的に応援したいですね。