スポンサーリンク
Amazon
Pickupカメラレビュー

本当にダメレンズなの?SONY FE24-70mm F4 ZA OSS(SEL2470Z)レビュー

本サイトでは広告から収益を得ることがあります。

201902_02_000

以前α7IIと一緒に購入した、SONY Eマウントの小三元標準ズーム「Vario-Tessar T* FE24-70mm F4 ZA OSS(SEL2470Z)をしばらく使ってきましたので使用感を含めてレビューしたいと思います。巷ではどうにも評判が芳しくありませんが、実際のところどうなのでしょう?

憧れのツァイスのバッチ!高級感があってα7シリーズとも好バランス

201902_02_010

シンプルでエッジの効いたデザインです。ソニーのレンズはシュッとしていてカッコいいと思います。FE24-70mm F4 ZA OSSは非常に軽量なレンズですが、鏡筒はもちろんズームやピントリングまで金属製で非常に造りが良くて高級感があります。

201902_02_020

α7シリーズのボディには本当にベストマッチで、まさにTHE標準レンズといった佇まいですね。

ツアイスのバッチも目立っていてカッコいいです。一度は所有してみたいと思いますよねツアイスのレンズ(実際にはブランド貸しらしいですが)

性能が良ければそれで良いと言う人もいると思いますが、私は所有満足度に直結する外見は大切だと思っています。趣味ですからね。

レンズ本体にはスイッチ類は一つもありません。三脚を使う時には手振れ補正は切りますし、私はそこそこマニュアルフォーカスに切り替えたりもしますので、これらの切替スイッチがなくメニューから呼び出す必要があるのは結構なストレスです。

201902_02_030

ズームすると伸びますがガタツキはありません。登山時にレンズを下に向けて肩にマウントしていましたが、勝手にズームが伸びてしまうようなこともありませんでした。ズームリングとフォーカスリングは適度なテンションでスムーズに回りますが、個人的には少し重めかなと思います。

「Vario-Tessar T* FE24-70mm F4 ZA OSS」をチャートでチェック

201902_02_100

FE24-70mm F4 ZA OSSをチャートでチェックしてみましょう。広角端の24mm、中間の50mm、望遠端の70mmで撮影しました。

フルサイズはアスペクト比が3:2ですので、通常はもっと中の方の3:2の部分が画角いっぱいになるように撮影するものなのですが、今回は24mm時の最短撮影距離の関係でこれ以上大きく写すことができませんでしたので50mmと70mmも揃えています。左上は完全に四隅ではありませんが、このくらいであれば有意な差はないと思います。

まずは24mmです。

201902_02_110

開放のF4ではちょっと厳しい感じですが、1段絞ったF5.6からは左上中はシャキッとしますので十分に使っていけると思います。解像度のピークはセオリー通り2段絞ったF8あたりのようです。F8まで絞ると4隅も十分な解像度だと思います。

次に50mmです。

201902_02_120

50mmでは開放のF4から解像度が安定しています。四隅はやはりF8から解像度が上がりますが、F4やF5.6でもわるくない解像度です。F4からF16まで四隅も含めて解像度の均一性は高いと思います。チャートでは確認していませんが、40mmや60mmあたりでも同じ傾向を感じます。

最後に望遠端の70mmです。

201902_02_130

70mmでも絞りによる均一性は同様ですが、四隅はF8でもあまり改善せずF16あたりがピークのように見えます。しかし左上中は開放では24mmよりも良いのですが、F8まで2段絞ってもほとんど改善しません。左上中の解像度は24mmのピークには全域で劣る感じです。このあたりの解像度がいまいちだと撮った写真も締まりのない感じになると思います。

恐らく悪い評価はこの70mmの写りに関するものでしょう。望遠端以外で使用する分にはズームレンズとして十分な画質が得られますので、60mmくらいまででというのを念頭に使用するのが良いと思います。24mmで使うときはできれば1段絞りたいところです。

本記事のチャートは簡易なセッティングで行っていますので、必ずしも正確ではありませんが、解像度の傾向は十分に読み取れると思います。また、レンズの評価基準は多岐にわたっていてチャートによる解像性能の計測はあくまでもその一部に過ぎないことは念頭においておいてください。

やはり光学性能はいまいちか?

まずは湾曲ですが、私の所有するα7IIでは湾曲補正がオート固定となっているためにレンズそのものの湾曲はわかりませんが、実際には周辺部はかなり湾曲があるそうです。しかし湾曲補正が良く効いていて、上のチャートでもわかるように広角端の最短撮影距離で撮っても湾曲はほとんど感じません。

201902_02_210

周辺光量落ちも同様です。上の写真は24mmの解放F4で撮影した瀬戸大橋ですが、この画像を見る限り周辺光量落ちは見られません。実際には広角端の解放で周辺光量落ちがないことはないと訳で、やはりレンズ自体の性能としては周辺光量落ちは大きめにあるらしいのですが、これに関しても自動補正がよく効いていて実際に出てくる画像には問題は感じられません。

201902_02_220

個人的には周辺光量落ちの味も好きですので、わざわざLightroomで逆に補正して周辺光量を落とすことがあるくらいです。ちなみに観音寺の銭形砂絵を元日に撮った写真です。

201902_02_230

逆光耐性の強さは特筆に値すると思います。光源の位置によっては、極々小さなゴーストが発生することはありますが、Lightroomで容易に修正できる程度のものです。私が今まで所有したレンズの中では飛びぬけて逆行耐性が強いと感じます。個人的には逆光で撮るのが好きですので、ここはポイントが高いところです。

確かにレンズとしての光学性能は必ずしも高いものではないようです。しかし、レンズとして足りない部分はソフトウェアで良く補正されています。もちろん純粋な光学性能が高いほうが気持ちが良いものですが、出てくる絵に問題がなければそれはそれで良いのではないでしょうか。

「Vario-Tessar T* FE24-70mm F4 ZA OSS」を画質だけで語るなかれ

201902_02_300

否定的な意見の大部分は「ツアイスなのに!」みたいな感じですが、そもそもツアイスではTessar(テッサー)は、光学性能を極めるというよりも、比較的低価格で軽量コンパクトに振ったレンズに与えられるブランド名です。

このレンズは世界最軽量のフルサイズとしてデビューしたα7の標準ズームレンズです。そこに求められるのは普及帯である小三元標準ズームをα7に見合う軽量コンパクトなボディを実現することです。このサイズと重量でF4通しの小三元標準ズームを持ち歩けるというところに価値があるのではないでしょうか。

レンズに限った話ではありませんが、どのような製品もどこかを切り捨てて、どこかを取っているものです。例えば、最近話題のタムロンの28-75mm F/2.8 Di III RXD(Model A036)はF2.8通しであるにも関わらず軽量コンパクトでしかも画質も良いと評判です。死角がないじゃないかって?それが無視できない問題があるのです。

201902_02_320

201902_02_310

上の写真はそれぞれ24mmと28mmで撮った写真です。結構な差だと思いませんか?数字だけ見ると、たったの4mmと思ってしまいますが、広角側での4mmというのは非常に大きな差です。室内や観光地などでは距離を取ることが難しいケースが多く、この4mmはとても大切です。

このようにタムロンのModel A036は広角側を4mm切り捨てることで成り立っているレンズなのです。私もModel A036が登場した時にはポチりそうになりましたが、この広角側の4mmがどうにも気になって買いませんでした。別にModel A036が良くないレンズだと言っているけではありません。4mmが気にならないのであれば素晴らしいレンズです。つまりは、なにを重視するか?であって、万能なレンズというものはないということです。

FE24-70mm F4 ZA OSSは極端に高い画質を求めないことで軽量コンパクトなボディを手に入れたバランス型のレンズです。426gという重量は小三元標準ズームとしては非常に軽量ですし、外寸もコンパクトです。

サイズ 質量
SONY
FE24-70mm F4 ZA OSS
73 x 94.5mm 426g
SONY
FE24-105mm F4 G OSS
83.4 x 113.3mm 663g
SONY
FE24-70mm F2.8 GM
87.6 x 136mm 886g
TAMRON
28-75mm F/2.8 Di III RXD
73 x 117.8mm 550g
Nikon
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
77.5 x 88.5mm 500g
Canon
EF24-70mm F4L IS USM
83.4 x 93mm 600g

Canonには、まだミラーレス用のRFレンズに24-70mm F4がラインナップされていませんので一眼レフ用のEFレンズです。

同じSonyの人気レンズであるFE24-105mm F4 G OSSは望遠側が105mmまでありますし、画質の評価も高いレンズですが、重量は実に1.5倍。FE24-70mm F2.8 GMに至っては倍以上の重量です。

201902_02_325

TAMRONのModel A036やFE24-105mm F4 G OSSが購入時の比較対象になると思いますのでFE24-70mm F4 ZA OSSと並べてみました。こうして並べて比較してみると非常にコンパクトであることが見て取れます。

普段から脚を使って写真を撮っている人であれば、このサイズ・重量差が無視できないものであることはよくわかっていることと思います。FE24-70mm F4 ZA OSSに批判的な人はあまりカメラを持って外に出る機会が少ないのではないでしょうか?

201902_02_330

私は初めての登山に、このFE24-70mm F4 ZA OSSを持っていきました。α7IIとの組み合わせで非常に軽量コンパクトなシステムで重宝しました。旅行に行くときなどに「あまり荷物を増やしたくないけどちゃんと撮りたい」といったニーズにフィットするレンズです。

価格
SONY
FE24-70mm F4 ZA OSS
104,630円
SONY
FE24-105mm F4 G OSS
149,630円
SONY
FE24-70mm F2.8 GM
252,500円
TAMRON
28-75mm F/2.8 Di III RXD
100,000円
Nikon
NIKKOR Z 24-70mm f/4 S
147,420円
Canon
EF24-70mm F4L IS USM
149,000円

価格は公式ショップでの販売価格です。

「10万もするレンズなのに!」という批判も的外れです。メーカー純正の小三元標準ズームレンズとして10万円というメーカー希望価格は安価であるのは明白です。悪評のおかげか実売価格もかなり下がっていますし、毎回キャッシュバックキャンペーンの対象になっていますので、驚くほど安価に購入することができます。

AFの動作も軽快で非常に静かです。スチル撮影時は小さな作動音が聞こえますが、動画撮影時は全くの無音でスムーズにピントを合わせてくれます。動画撮影との親和性も高いと思います。

201902_02_340

手振れ補正は特筆すべきものはありませんが、手持ちでのシャッター速度の下限目安は他の多くの標準レンズと同じく1/8くらいです。

近接性能はミラーレス用レンズとしては少し寄れない分類でしょうか。レンズの全長が短いのでこればかりは物理的にどうしようもありません。最短撮影距離は40cm、最大撮影倍率は0.2倍です。本レンズの場合はAFが合掌する最短距離はズームで違いはなく、望遠端の70mm時にもっとも大きく撮ることができました。

201902_02_350

201902_02_360

上が24mmAFが合掌する最短距離、下が70mmでAFが合掌する最短距離です。大きく映したい場合はなるべく望遠で撮ることになります。

本格派の人でも1本持っておけば使い勝手が良い

201902_02_400

このレンズは、普段持ち歩いてスナップを撮っている人や、巨大なレンズで周囲をドン引きさせることなく子供の写真を綺麗に撮りたいといったお父さんやお母さん。写真に興味は出てきたけど大仰なのは、、、というカメラ女子さん。登山などで機材の軽量化をしたい人。そんな人たちに最適なレンズだと思います。

画質が命!という人はEマウントレンズとは思えないヘビー級のFE24-70mm F2.8 GMを購入すれば良いと思います。もちろんあの金額を支払えてヘビー級のボディを持ち歩く体力があればですが。もちろんタムロンや24-105mmのGレンズも、それぞれにトレードオフがありますが正しく判断して選択できればどれも良いレンズです。

単焦点レンズで気合をいれて行くぜ!という人でも標準ズームをカバンに入れない人は少ないのではないでしょうか?実際にはあまり使わないとしても心情的に。そんな時に軽量コンパクトなこのレンズをカバンの片隅に入れておくと精神衛生上良いと思うのです。

それにいくら高画質でも重くて持ち出すのに気合が必要なレンズよりも、このようなレンズを日頃から気軽に持ち出してパシャパシャと撮る方が意外と良い写真が撮れるかもしれませんよ?

Source : Sony  TAMRON