得体の知れないChrome OSの紹介記事 第3弾です。「Chrome OSではAndroidアプリが動く」というのは皆さん聞いたことがあると思いますが、実際にどう動くのか?使い物になるのか?といった実情を紹介しようと思います。「WindowsでAndoridアプリが動く」という「Windows Subsystem for Android」との違いにも少し触れたいと思います。
Chrome OSのAndroidへの対応
Chrome OSでは仮想OSとしてAndroidが搭載され、Androidのアプリも動作するようになりました。Chrome OSのランチャーにGoogle Playが入っていて、まるでChrome OSにAndroidアプリをインストールするような感じになります。
インストールしたアプリはChrome OSのランチャーにアイコンが追加されます。下のランチャーのスクリーンショットではGmailのアイコンが2つ表示されていますが、1つはChrome OSのGmail、もう1つはAndroidのGmailアプリのアイコンです。
クリックして起動すると、これまたChrome OSのアプリケーションのようにウインドウが開きます。下のスクリーンショットでは左上からChrome OS、真ん中がLinux、右下がAndroidのChromeブラウザです。
ただし、こちらも先の記事で説明したLinuxのアプリケーションと同じようにファイルシステムは別になっていますので、ファイルをやり取りするにはChrome OSの「Playファイル」フォルダを介する必要があります。
Androidアプリのウインドウの挙動にはアプリによっていくつかのパターンがあります。まずは「自由にウインドウのサイズを変更できる」タイプ。もちろん最大化もできます。上で紹介したブラウザアプリなどがそうです。ゲーム以外はこのタイプが多いです。
次に「デフォルトのスマホサイズからサイズを変更できない」タイプ。最大化もできません。例えばインスタグラムの公式アプリがそうです。
そして「最大化固定」タイプ。起動すると最大化して画面いっぱいに表示されるタイプです。他のアプリに切り替えると最小化して見えなくなります。ほとんどのゲームはこのタイプです。ゲーム以外だとFlightradarなどがこのタイプです。
Androidアプリは「画面の分割」に対応しているものと対応していないものがありますので、それによってChrome OS上での挙動も変わってくるようです。
Chrome Bookには12インチや14インチといった2in1モデルがあるので、大型のAndroidタブレットとしての立ち位置もあります。iPadはもちろん、Androidでも12インチを超えるようなサイズのタブレットは高価ですので、別に購入することなく2in1タイプのChrome Bookで兼ねることができるのはメリットだと思います。大型のタブレットは電子書籍用として特に有用ですが、私が愛用しているKindleや楽天マガジンのアプリは特に問題なく動作しています。
紙と電子とで同じ雑誌がありませんでしたので、紙の雑誌をスキャニングして12.3インチのPixel Slateに表示したのが下の画像です。
Pixel Slateの場合はアスペクト比が有利だというのもありますが、12インチくらいのモニタサイズがあると、雑誌がかなり原寸に近いサイズで読めます。雑誌は比較的字が小さく、一般的な10インチクラスのタブレットだと場所によっては、いちいちピンチアウトして拡大する必要があったりします。もちろんタブレット端末でも10インチを超える大型の製品はありますが、iPad ProにしろAndroidタブレットにしろ高価なものになります。2in1のChrome Bookでは14インチといったタブレットとしては超大型の2in1も比較的安価に手に入ります。
私は、Chrome OSではAndroidアプリをあまり活用できていませんが、Android版のツイッター公式アプリをデスクトップの片隅に開いて、ネットサーフィンしています。
また、Androidアプリで音楽を再生して、BluetoothでAVアンプに飛ばして大きなスピーカーで聞いたりもできます。AVアンプはBluetoothに対応している製品であれば、大抵の機種では電源OFFでもスタンバイしていますので、Bluetoothで接続すると自動的に電源がONになって音楽が再生されます。
Chrome OSで動画や音楽を再生すると、下のシェルフ(Windowsでいうとタスクバー)の右下にメディアコントロールというものが表示されて集中制御できるようになっています。動画は普通は画面を見ていますので必要ない気もしますが、音源として動画を再生することもありますので有用だと思います。下のスクリーンショットでは、Chrome OSのYoutubeアプリと、AndroidのYoutube Musicアプリが起動していて、両方がメディアコントロールで統合制御できることがわかると思います。
Google謹製のアプリ以外でも、例えば私が使っているMusiccoletなども同様にメディアコントロールで統合制御できます。おそらくスマホの場合は通知エリアに表示されるものを拾っているのではないかと思います
ただし、Chrome OSに搭載されているAndroidはWidevineのSecurity LevelがL3ですので、L1を要求するAmazonプライムビデオやNetflixなどはSD画質になってしまいます。Youtubeはちゃんと高画質で再生されます。
ちなみに、Androidアプリの通知も、Chrome OSの通知と統合して表示されます。もちろん通知によってはクリックすることでアプリが自動で開かれたりします。
このような感じで、Chrome OSのAndroidアプリは実際には仮想環境で動いているのですが、あたかもChrome OSのアプリのように振る舞います。よく統合されているなぁという感じです。
Chrome OSのAndroidでは、動かないゲームが多い
「Chrome OSでAndroidアプリが動くようになった」とは言いますが、ゲームは動かないものが多いのが現状です。原神のようなヘビー級の3Dゲームは当然のように起動できませんし、ウマ娘は起動できたりできなかったりします。起動できるときは普通にプレイできるのですが。AnTuTuベンチマークも3D系のテストで落ちます。GPUの支援を必要とするようなゲームが動かないのは予想通りなのですが、3Dゲームではないプリンセス コネクト Re:Diveも起動できませんでした。また、アズールレーンやPUPGは起動してゲームが開始できるのですが、一部の操作アイコンが表示されなくて操作不能になったりします。
かと思えば、そこそこ重めな3Dゲームのプロジェクトミライは問題なく動作したりして、今ひとつ動くものと動かないものの線引がわからないのですが、試した範囲ではゲームは動かないものの方が多いですので、Androidゲーム用の端末として期待しないほうが良いでしょう。ゲーム以外のアプリでは、今のところ動かなかったものはありませんでした。
個人的にはChrome OSで常用しているAndroidアプリはTwitterクライアントくらいなのですが、ウェブアプリケーションでは足りない何かを、Andoridアプリで補えることはあると思いますので有用だと思います。
Windowsでも「Windows Subsystem for Android」によってAndoridアプリが動作するようになりましたが、これは「Amazonアプリストア」からアプリをインストールします。GoogleのPlayストアには対応していませんので、Androidアプリが動くというよりは「Amazon Fireアプリが動く」というのが実情です。GoogleのPlayストアにあってAmazonアプリストアにないアプリはそこそこありますので、GoogleのPlayストアに対応しているというのはWSAが登場したと言っても、依然としてChrome OSのアドバンテージだと思います。