楽天モバイルの回線を契約する時に「実質1円ならば」(実際には同日申込みの回線契約で5,000円分の楽天ポイントが貰えるので、従来の言い方で言えば実質マイナス4,999円です)とRakuten Handを購入しました。この手のスマホは平凡なスペックだったりダサかったりするのが相場ですが、1ヶ月程度使ってみて存外に良いスマホだったのでレビューしたいと思います。
コンパクトでスタイリッシュなボディ
最近のXperiaのような縦長のスタイリッシュなデザインで、写真で見るよりもずっとコンパクトな感じです。最近のスマホは大型化していますので、5.1インチのコンパクトなボディはとても新鮮です。スマホは性能的に飽和していますので、私はほぼデザインで選びますが、このRakuten Handのサイズ感も含めてデザインはとても気に入っています。
手元に4インチのiPhone 5cがありましたので試しに並べてみました。もちろん高さはRakuten Handの方がありますが、横幅は変わらないくらいですので持った感じのサイズ感は非常に近いと思います。Rakuten Handは、一昔前の「手に収まる感」のあるスマホです。名前の通り。
iPhone 12 miniと比べると
サイズ | 質量 | |
---|---|---|
Rakuten Hand | 138 x 63 x 9.5mm | 129g |
iPhone 12 mini | 131.5 x 64.2 x 7.4mm | 133g |
と、縦が6.5mm長く、逆に幅は1.2mm狭いサイズです。重量もほぼ同じですね。厚みは1.9mm厚いのがいかにも安価なスマホといった感じですが、デザインで上手くカバーしていて、厚みのあるスマホとは感じないです。
なにせ2万円のスマホですので、もっとチープなルックスだろうと思っていましたが、ラウンドした液晶モニタなどの効果でそんなことはありません。サイドのメッキが少しダサいかなと思いますが、全体的にはシンプルで良いデザインだと思います。メッキの部分がヘアライン加工のアルミだったら良かったのですが、ちょっと贅沢言い過ぎですね。ちなみにメッキなのは白だけで、黒と赤は同色なのです。しかし白のボディは裏面に清涼感があるのでお気に入りです。
ベゼル幅もそれなりにありますが、これも左右がラウンドしたデザインのためか、全然気になりません。私は厚みとベゼル幅はかなり気になる方なのですが、よく出来たデザインだと思います。
2万円なのに有機ELディスプレイ
さらっと有機ELディスプレイです。通常の液晶ディスプレイは裏からLEDで光を照らしていますので、他のドットの光が漏れてきれいな黒を再現できないかったりしますが、有機ELディスプレイは素子自体が発光しますので、黒を含む各色を鮮やかに再現できます。ただ、Rakuten Handの場合はきつい角度から見ると青みがかかって見えますね。そんな角度からスマホを見ることはそうありませんし、通常使用で気になりませんが、この記事の写真を撮っていて気が付きました。
個人的には有機ELディスプレイだからといって特に美しい!とは感じないので、画質については通常の液晶ディスプレイでも良いかなと思いますが、有機EFディスプレイは通常の液晶ディスプレイに対して大幅に低消費電力です。ディスプレイの発光はスマホ全体の消費電力のかなり大きな割合を占めていますので恩恵は大きいでしょう。
ちなみに解像度は1520×720とスペック的には見劣りしますが、ディスプレイサイズも小さいことですし、よ~く見ると丸いアイコンの縁にドット感を見ることができないこともないといった感じです。解像度が低いということは、それだけいろいろな処理が楽になる訳で、SoCやメモリへの負荷が低く、ひいては消費電力の低減に繋がります。スマホの解像度はスペックを盛るために無駄に過剰になっている思っている私的には、無理に数字を追いかけることなく、程よい解像度に留めているのは逆に好感が持てます。
2万円なのにSnapdragon 720GでAntutuベンチマーク27万以上
Rakuten HandのSoCにはSnapdragon 720Gが採用されています。このスナドラ720Gがまたパフォーマンスと電力効率のバランスの良いSoCで、Antutuでは軽く27.4万を叩き出しました。近いスコアのスマホで言えば5.8万円のGoogle Pixel 4aが27.7万です。
ちなみに、比較用にRakuten Handの直前に3.6万円で購入したXperia 10 II SIMフリー版を計測してみましたが17.6万でしょんぼりです(笑)
いくつかゲームをしてみましたが、負荷の高い3Dゲームでも快適に遊ぶことができます。
原神では画質低がデフォルト選択されていましたが、それでもこのクオリティですので十分です。もちろん快適に遊べます。
PUBGもクオリティHD、フレーム設定高のデフォルト設定で快適に遊べました。
しかし2万円のスマホでこんなきれいなグラフィックスの3Dゲームをバリバリと遊べるとは、すごい時代になったものです。
2万円なのにディスプレイ埋め込み型指紋認証
私は顔認証よりも指紋認証の方が使い勝手が良いと思っています。Rakuten Handも指紋認証に対応していますが、今どきのディスプレイ埋め込み型の指紋認証で驚きました。
中華スマホなんかだとディスプレイの向こう側に指紋センサーが透けて見えるなんて話も聞きますが、Rakuten Handではそんなことはありません。光を当ててみたりしましたが全く見えません。指紋認証の判定率も非常に高く、ほぼ完璧に認証します。
電源ボタンを押すか、消灯状態のディスプレイをタッチするとセンサーの位置に指紋マークが表示されます。慣れてくるとセンサーの位置を覚えますので、消灯状態からでもワンタッチでロック解除することができます。ディスプレイ埋込み型だから特に使い勝手が良いということはないのですが、2万円なのに驚きです。
2万円なのにおサイフケータイ(Felica)対応
Rakuten HandはSIMフリースマホなのですが、グローバル版であることが多いSIMフリースマホにとって一つのハードルはおサイフケータイへの対応です。なぜなら日本のガラパゴス仕様となってしまったFelicaチップを搭載する必要があるからです。
NFC搭載なのになんでSuica使えないの?「NFC」「Felica」「おサイフケータイ」の違いを超わかりやすく解説します! |
近年ではiPhoneやPixelが搭載するようになりましたが、これは日本市場向けのカスタマイズモデルです。XperiaのSIMフリー版などはグローバル版ですので、おサイフケータイには対応していません。
ところが、Rakuten HandはSIMフリースマホとは言っても、日本市場用ですのでFelicaチップを搭載するという選択ができるわけです。
安価なSIMフリースマホなのにおサイフケータイに対応しているというのは、Rakuten Handの大きな特徴といえるでしょう。
カメラは必要最低限
最近のハイエンドスマホの勝負どころはカメラの性能となっていますので、どんどんカメラの搭載数が増えていっています。逆に言えば、安価なスマホでコストダウンしやすいところもカメラな訳で、Rakuten Handもカメラは2眼となっています。しかも2つ目のカメラは深度測定用ですので、実際には4,800万画素の1眼といえます。
深度測定カメラが付いているということは、ボケ量をコントロールできるポートレートモードには対応していますが、実際に撮影してみるとなにか見せたくないものを修正しているような不自然な画像になってしまいました。正直イマイチですね。
複数枚を撮影して明るい写真を合成する夜景モードには対応していません。ただ、夜景モードはソフトウェアで実装するものですので、アップデートで対応してくれないかなと期待しています。
カメラの写り自体は、特筆するようなものはありません。遠景を撮ったものを等倍で見るとミドルクラスのスマホよりも少し劣るかなという感じですが、近い物を撮るとかなり精細感があります。色味は、最近のスマホのカメラはSNS映えするように派手めの補正がかかっているものが多いのですが、Rakuten Handのカメラは自然な色味だと思います。派手めにワンタッチで調整する機能も付いていますので、このへんはお好みに応じて調整すれば良いでしょう。
少し面白かったのは、AIオートで撮ると被写体を自動判定して画質を調整しているようでした。下の画像では「花」と認識していますね。左上のAIをタップするとOFFにすることもできます。
Rakuten Handのカメラは特に良いという訳ではありませんが、SNSへの投稿レベルであれば十分に綺麗に撮れます。価格を考えれば十分以上ですね。
バッテリー持ちは十分。PDに対応していないけど充電速度も速い
小型のスマホだとバッテリー容量などに制限が出ますので、バッテリーの持ちが問題になりやすいです。Rakuten Handのバッテリー容量は2,750mAhです。最近の大型スマホは3,500~4,000mAhの大容量ですので少なく感じますが、iPhone 12では2,815mAh、iPhone 12 miniでは2,227mAですし、一昔前のハイエンドスマホは3,000mAhでしたので十分な容量ではないかと思います。
完全に放置した待受状態だと、2.5日間(上の縦線ひとマスが1日です)くらいで100%から75%まで消費しましたので、単純計算で10日間くらい待受できる計算です。
最近はじめたWorld of Warshipsを30分プレイすると7%の電力消費でした。ちなみに3,600mAhのXperia 10 IIで同じテストをすると9%を消費しましたので、やはりRakuten Handのバッテリー持ちは良さそうです。先に説明した有機ELディスプレイの省電力効果や、Snapdragon 720Gの電力効率の良さが際立っていると思います。
充電速度は付属の充電器で計測すると、8分で10%くらいで、0%から80%までは1時間ほど。バッテリーをいたわるために充電速度が落ちて、80%から100%までは40分ほどと20分で10%の充電速度になります。
PDなどの急速充電には対応していませんが、付属の充電器による充電では5V×2A=10Wで充電しますので、PDのスマホとさほど変わらない短時間で充電できます。
ただし手元のいくつかの汎用の充電器で試す限りはPD対応でもPD非対応でも5V×1.2A=6Wでの充電となりましたので、純正の充電器の60%くらいの充電速度になると思われます。
外出時の持ち出し用には純正の充電器が良さそうです。汎用品で最速の充電ができないのはいまいちポイントですね。
Rakuten Handは楽天モバイル専用モデルか?
先にも説明したように、Rakuten HandはSIMフリースマホですが、物理SIMのスロットがないeSIM専用機です。日本ではeSIMの提供は非常に限定的ですので、実質的には楽天モバイルで使用する前提で考えるのが良いでしょう。詳しくは下の記事にて説明しています。
「Rakuten Hand」の対応周波数帯と、MVNOで使用できるか? |
こんなんで良いんだよ。こんなんで。
サイズ感やシンプルなデザインがとても気に入りました。ハイエンドスマホを基準に考えると物足りないのか「サブならば」といった評価も目にしますが、個人的にはRakuten Handはメインとしても「THE こんなんで良いんだよ」スマホです。
Rakuten Handは中華スマホも裸足で逃げ出すほどのコストパフォーマンスです。このレベルのスマホを2万円とは。しかし、2万円とかどうでも良いのです。一時的には2万円を支払うものの、回線契約と合わせて楽天ポイントが24,999円も返ってきて、更に通信費が1年分無料なのですから。回線契約とセットとは言っても縛りは一切なし、回線の費用も本当に1年間無料なのです。
詳しくは下記の記事にて説明していますが、本当に縛りなしで丸儲けですよ。契約しない理由なんてないのです。
Source : 楽天モバイル