スポンサーリンク
Amazon
PCPickup

【M.2?NVMe?】ざっくりわかるSSDの選び方

本サイトでは広告から収益を得ることがあります。

202101_05_000

既にPCのストレージとして当然のようにSSDが使用されるようになりましたが、急速な進化に従って規格や用語が色々と飛び交い、今一つどれを買えば良いのか、わかりにくい感じになっています。今回は「PCは自作しているけど、そんなに詳しい訳ではない」くらいの人向けに「ここだけ理解しておけば大体OK」という観点でSSDの種類や接続方法を解説したいと思います。

この記事ではSSDのすべてを解説する訳ではありませんので例外はありますが、今回解説する内容でほぼほぼSSDを正しく選択できると思います。今回はノートPCの換装用は対象外(私がよくわかってない)で、デスクトップPC用にフォーカスしてします。

転送速度の単位がバラバラだからわかりにくい

202101_05_010

SSDの転送速度の単位でよく見るのは「2000MB/s」や「2000MBps」といった記載です。対して、PCI Expressなどのインタフェース規格の転送速度の記載では「16Gb/s」「16Gbps」などの表記が一般的です。実はこの4つの値は、いずれも同じ転送速度を指しているのです。単位が異なるのでパッと比較できないのですよね。

まずMB/sとMBpsはどちらも同じで「メガバイト・パー・セカンド」=「毎秒ほにゃららメガバイト」です。「1秒間に転送できるメガバイト数」ですね。

Gb/sとGbpsも同じで「ギガビット・パー・セカンド」=「毎秒ほにゃららギガビット」です。「1秒間に転送できるギガビット数」です。メガとギガはさすがに皆さんわかると思いますが「1024M = 1G」です。話を簡略化するために1000Mを1Gとするケースもありますが、正しくは1024Mです。

曲者なのがB(バイト)とb(ビット)の違いです。大文字と小文字の違いはありますが、どちらもBですので同じ単位かと勘違いしてしまうのですが「1B(バイト) = 8b(ビット)」です。

例えば16Gb/sは

16Gb/s × 1024(G→M) ÷ 8(b→B) = 2048MB/s

ということになります。PCI Express 3.0のx2(2レーン)の転送速度が16Gb/sですので、最高転送速度2000MB/sのSSDをフルスピードで使おうと思ったら、PCI Express 3.0 x2以上が必要ということになります。

規格の表記がバラバラだからわかりにくい

202101_05_020

インタフェース規格も同じものが表記が異なっていたり、厳密には別物であるけども実質的には同じと考えて良いために混同して使用されているものがあったりして、こちらも混乱の元です。

PCI ExpressとPCIeは表記が異なるだけで、同じものです。
NVMeとPCI Expressは厳密には異なるものですが、とりあえず同じと考えて良いです。
AHCIとSATAも同じく厳密には異なるものですが、同じと考えて良いです。

PCI Express = PCIe
NVMe ≒ PCI Express
AHCI ≒ SATA

です。製品などによって「NVMe」と記載されていたり「PCI Express」と記載されていたり「PCIe」と記載されていたりするので混乱するのですが、このいずれかの表記があるSSDと接続スロットの組み合わせであれば接続できます。「AHCI」と「SATA」も同様です。

NVMe、AHCI、PCI Express、SATAの違い

PCI ExpressやSATAは通信方式、NVMeやAHCIはSSDやHDDなどを読み書きするコマンドのようなものですので異なるものなのですが、NVMeはPCI Express用に、AHCIはSATA用に最適化されているため現実的にはNVMeであればPCI Expressですし、AHCIであればSATAと思って大丈夫です。

形は2種類

202101_05_030

形はこの2種類を覚えておけば良いです。左が2.5インチ、右がM.2です。これは皆さんご存知だと思います。

2.5インチ以外にも1.8インチなどもありますし、M.2は長さが異なるものもありますが、デスクトップPC用に販売されているものは、通常このどちらかです。

ちなみに長さはデスクトップ用の場合は上の写真の2280という規格がほとんどです。

これは一目瞭然ですので、分かりやすいですね。

接続、転送方式は大きく分けると2種類だけど、M.2はもう少し細かく知っておく必要がある。

202101_05_040

転送方式はAHCI(SATA)とNVMe(PCI Express)のいずれかです。なぜか「SATAか?NVMeか?」と言われることが多いです。2.5インチはAHCIのみ。M.2には両方に対応している製品と、AHCIまたはNVMeのどちらかのみに対応している製品があるために話をややこしくしています。SSD側はどちらかのみの対応で、マザーボード側が両方に対応しているパターンが主流です。

更に、PCI Expressには3.0や4.0などのバージョンがあり、それぞれx2やx4などのレーン数が異なる製品があります。

転送制御 転送方式 レーン数 転送速度
2.5インチ AHCI SATA ~ 512MB/s
M.2 AHCI SATA ~ 512MB/s
NVMe PCI Express 3.0 x2 ~ 2048MB/s (8×2=16Gb/s)
x4 ~ 4096MB/s (8×4=32Gb/s)
PCI Express 4.0 x4 ~ 8192MB/s (16×4=64Gb/s)

バージョンもレーン数も数が大きくなるほど速くなります。PCI Expressは1レーンあたりの転送速度が規格で決まっており、それを並列に複数並べて転送速度を上げることができます。レーン数というのはそれをいくつ並べるかですので、単純にx2よりもx4の方が倍くらいの転送速度が出ます。また、PCI Express 4.0は1レーンあたりの転送速度がPCI Express 3.0の倍になっています。

このようにPCI Expressには多数のバージョンやレーン数の組み合わせがありますが、これらは下位互換性がありますので接続して使用することはできます。その場合、当然ながら転送速度は遅い方に自動的に合わせられます。

上表は2021年3月時点での主な接続方式の一覧です。速度はその転送方式での理論値ですので、必ずしも実際に販売されているSSDでこの速度が出る訳ではありません。NVMe(PCI Express)のSSDはほとんどがPCI Express 3.0 x4(最大転送速度4096MB/s)に対応していますが、安価な製品ではチップの性能などの関係で、2000MB/s程度のものが主流です。

202101_05_050

M.2のSSDがAHCI(SATA)対応なのか、NVMe(PCI Express)対応なのかは端子部の切り欠きで判断できる仕様です。上の画像では左側がAHCI、右側がNVMeです。が、そうとも言えないケースもあるようですので、SSD側、接続するポート側の対応を調べておくのが良いでしょう。マザーボード側は大抵の場合は右側のみ凸があり、どちらでも挿さるようになっています。安価なUSB3.0変換ケースなど、AHCIにしか対応していない場合には左側も凸になっていてNVMeのSSDは挿さらないようになっています。

同じM.2であってもSSD側とスロット側が、それぞれAHCI(SATA)【のみ】対応とNVMe(PCI Express)【のみ】対応の組み合わせでは接続はできないところは注意が必要です。

SSDのスペック差はさほど重要ではない

ここまでSSDの速度を最大限に活かすための規格の話をしましたが、実はSSDの最大速度を体感できるシチュエーションは、なかなかありません。なぜならばSSDであることで既にストレージの速度はボトルネックになっていないからです。

私はRAW現像ソフトでの写真データの読込速度の向上を期待して、AHCI(SATA)接続(最大読込速度500MB/s程度)のSSDからNVMe(PCI Express)接続(最大読込速度3400MB/s)のSSDに変更してみましたが、速度向上を体感することができませんでした。タスクマネージャーを見ているとSSDになった時点で既に読込速度は十分で、CPUがボトルネックになっていました。

AHCIの方がスロット側の規格やM.2の空きスロットを気にする必要もなく、SATAケーブルにて気軽にドライブを増やせますので、あえてスペックの劣る2.5インチのAHCI(SATA)を選択するのもアリだと思います。2TBなどの大容量モデルだと、まだ2.5インチの方が安いですし。

とは言っても、できるだけ速いモデルでベンチマークを見てニンマリしたいのが人情ですけどね(笑)

【番外編】スロットに空きがなくてもM.2のSSDを増設する方法はある

「2.5インチのSSDならばM.2の空きスロットを気にしないで増設できるので良い」と、わかっていても「値段にあまり差がないのに今更2.5インチのSSDを購入するのもなぁ」と思ったりしますが、実はM.2スロットの空きがなくてもM.2のSSDを増設する方法があります。

速いSSDはNVMe(PCI Express)接続ですよね?そうです。マザーボードにPCI Expressのスロットってありますよね?グラボとか挿すところです。あそこにM.2のSSDを挿すためのアダプターカードというのが安価にあるのです。

詳しくは、上の記事にて解説していますので参考にしてください。