Amazonの完全独立Bluetoothイヤホン「Echo Buds」を入手しましたのでレビューしたいと思います。私は音楽や音響機器に対して造詣が深いわけではありませんので、ライトユーザー目線でのレビューになります。
Echo Budsにはワイヤレス充電に対応している充電ケースと非対応の充電ケースがあります。価格差は2,000円ですが、私はケチって非対応の方にしました。充電用のUSBケーブルは付属していますが、充電器は付属しません。
アクティブノイズキャンセリングのレビューに「効く」と「効かない」がある理由
Echo Budsは外音と逆位相の音で騒音を打ち消すANC(アクティブノイズキャンセリングモード)に対応しています。他に外を歩いたりするときの危険を軽減するためのアンビエントサウンドモード(外音取込)と、その両方をOFFにして「普通のイヤホン」になる省電力モードがあります。
ANCには「雑音をシャットアウトして無音になるんじゃね?」と過度な期待をしてしまうのですが、Echo BudsのANCはシチュエーションによっては全然効果がなかったりします。シチュエーションによってと言うのは、ANCには効きやすい音と効きにくい音があるのです。端的に言うとANCは低音には良く効きますが、高音にはほとんど効果がありません。例えば、音楽の場合はベースなどの低音はほぼ聞こえなくなりますが、ボーカルや高温の音は普通に聞こえます。ですので、事務所などで「他の人の声がうるさいから」というのには効果が期待できません。
逆に、私のアパートの前の道はトラックの通行量が多くて騒音が気になるのですが、こういった音には効果が高く、風切り音のようなシューという音は残りますが、ゴォーという音には効果的です。病院の静かな待合室で空調がゴォーっと大きな音を立てていたのですが、これは、ほぼ無音の静寂になりました。
このようにANCには効果が大きい音と、ほとんど効果がない音があるからか、Amazonレビューでは「良く効く」「全然効かない」と評価が分かれています。環境によりますので、過度な期待を持つと肩透かしを食らうかもしれません。
ANCとは逆に、安全のために積極的に外音を取り込むアンビエントサウンドモードは、どのくらい取り込むかの音量を設定することができます。
他に省電力モードがあります。ANC、アンビエントサウンドモードはマイクで捉えた外音をなんらかの加工をしてイヤホン内で再生する機能ですが、省電力モードは、このような外音のコントロールやAlexaをOFFにするモードです。外音のコントロールには結構な電力を消費しているようで、省電力モードではイヤホンのバッテリー持ちが実測で1時間30分以上も伸びました。
音質の評価はむずかしいのですが
気になる音質ですが、こればかりは人の好みにもよるので定量的には言えないのですが、私は1万円前後のイヤホンだとSONYの製品が音が良いと思います。そのSONYの同価格帯のBluetoothイヤホンと比べるとEcho Budsは少し透明感に欠けるというか濁りがあるような気がしますが、あくまでも素人の「気がする」のレベルです。音質はドンシャリとかではなくナチュラルな感じです。個人的にはドンシャリの派手めな音が好きですので、音楽プレーヤーアプリのイコライザーで調整しています。
少し不思議なのはANCやアンビエントサウンドモードをONにしたときの方が、これらの外音コントロールをOFFにした時よりも格段に音質が向上するように思えます。特に低音の厚みが段違いです。「気のせいだろ」と思うのですが、何度、切り替えてみても同じ感想です。みなさんも比較してみてください。
私はイヤホンにかける金額は1万円くらいがMaxかなと思いますので、2万円とか3万円とかするようなイヤホンと比べてどうなのかはわかりませんが、普通の人が聞いて「これで十分」と思える音だと思います。
遅延は普通にあるけど、動画観賞には問題なし
この価格帯のBluetoothイヤホンでは常識的な遅延があります。例えば原神でサーベルを振ると、振り終わってから音が聞こえるくらいの遅延があり、かなり違和感を感じます。音ゲーは映像と音楽の遅延を設定できたりもしますが、自分がタップした時の音が遅れますのでやはり違和感が大きいです。アクション性のあるゲームは厳しいかなと思います。
ところが動画観賞については事情が異なります。YouTubeでもプライムビデオでもまったく遅延を感じません。セリフと口の動きも完全に合っているように見えますし、YouTubeの遅延チェック用の動画でも全く遅延がないように見えます。OSもしくはアプリでBluetoothイヤホンを検出して遅延を補正しているのか?それとも音を出すアクションを自分で行わないから感じにくいだけなのかはわかりませんが、少なくともYouTubeとプライムビデオにおける動画観賞に関しては全く遅延を心配する必要はありません。
「繋がらない」「よく切れる」というbluetooth機器ではお決まりのAmazonレビューが見られますが、そんなことはありません。Amazonレビューの質問に「今どきBluetooth5.0ってマジですか?」なんて煽りがありますが、皆さん大好きなAirPodsは、2倍の価格であるにも関わらずBluetooth5.0です。
Echo Budsは片側のみでも使えます
完全独立ですので、片方を充電ケースにしまったまま、片方のみを装着して再生することができます。これは左右どちらでも同様です。
Echo Budsはイヤホンに赤外線センサー(上の画像の黒の楕円のところ)を搭載していて、耳に装着したことを検出していますので、音楽再生中にイヤホンを外すと再生を停止し、再度装着すると再生を再開します。YouTubeでも同様の動作です。ただ、片側を外すと、残りの片側で再生し続ける訳ではありませんので、それを鬱陶しいと感じる人もいるようです。
イヤホン側面をタップすると各種操作ができます。左右×タップ回数(シングル、ダブル、トリプル)と左右×長押しに機能を割り当てることができます。
初期状態では片側だけで操作できるように上の設定になっていますが、私は片側だけで使用することはないので、下のように設定しました。
発売時には「マルチポイント」には対応していませんでしたが、現在はソフトウェアアップデートにより2台のマルチポイント接続に対応しています。
Echoは使いどころは?
Echo Budsと名乗っているくらいですので、アレクサに対応しています。「アレクサ、リビングのライトつけて」と言えば、外出中でもリビングのライトをつけてくれます。「アレクサ、ジャズかけて」と言えばEcho BudsでAmazon Musicからジャズをかけてくれます。他にも「アレクサ、音量上げて」や「アレクサ、バッテリー残量教えて」「アレクサ、ジャズかけて(Amazon Musicを契約してなくても無料の範囲でジャズをストリーミング再生してくれます)」「アレクサ、10年代のJPOPかけて」「アレクサ、リビングのライト付けて」など色々と音声で指示が出せますが、実際のところ使いどころがありません。
自宅にいる時には据え置きのEchoがあるでしょうし、なにより自宅ではイヤホンをしていません。イヤホンをしている時は外出中だと思いますが、周りに人がいるかもと思ったら声に出して「アレクサ、・・・・」とか言いませんよね。試しに外出先から自宅リビングのライトを付けてみた時も、周りに人がいないかを丹念に確認してから発声しました。海外ではそんなこと気にしないのかもしれませんが、日本人には無理です。ポケットからスマホを出してアレクサアプリでリビングのライトの点灯ボタンをタップします。
Echo Budsという名が示しているようにAlexaへの対応がアピールポイントなのだと思いますが、余程特別なシチュエーションでない限りは使用シーンはないのではと思います。Echo BudsでのAlexaの使い道を見い出すことができれば面白いと思うのですが。。。
ちなみに、AlexaだけではなくGoogleアシスタントやSiriにも対応していますので、「アレクサ、明日の天気は?」も「OK Google、明日の天気は?」も「Hey Siri、明日の天気は?」も使えます。
「アレクサ、ワークアウト」「はい、Amazon Musicからワークアウトを再生します」
Echo Budsはランニングなどのワークアウトを記録する機能にも対応しています。「アレクサ、ワークアウト開始して」で記録を開始し、「アレクサ、ワークアウトを終了して」で終了します。
初めてランニングで使ってみようとした時に「アレクサ、ワークアウト開始」と言うとAmazon MusicでWork Outという曲を再生し始めました。。。「アレクサ、ワークアウト開始して」というと言うとワークアウトの記録を開始してくれました。学習したのか2回目からは「アレクサ、ワークアウト開始」でもワークアウトの記録を開始するようになりましたが。。。
それはともかく、せっかく実装してくれているワークアウト機能ですが、私は使いません。Google Fitに記録していますので。Google Fitは何も操作しなくてもランニングを始めたのを検出して勝手に記録してくれますし、なによりAlexaで記録するとイヤホンを変更したりすると記録が途絶えます。Google Fitならばプラットフォームを問わずスマホさえ持っていればずっと記録されます。
ランニングでイヤホンが脱落しないか?に関しては大丈夫そうです。イヤーピースのフィッティングにもよると思いますが、落とす感じは皆無でした。付属しているウイングチップを装着すれば万全だと思います。
ウイングチップを付けるとかなり保持力が上がりますので、完全独立イヤホンを落とすのが不安と言う人には特におすすめです。装着すると違和感があるとかいうこともありませんので、私も装着して使用しています。
ちなみにIPX4等級の水の飛まつへの耐性がありますので、汗や少々の雨は大丈夫です。
バッテリー持ちが良いとは言えないけどこんなもんでしょ
Echo Budsでよく言われているのが「バッテリー持ちが悪い」という事ですが、それに関しては下の投稿にて検証、解説しています。
ちなみに、バッテリーが切れる時の挙動は、左右どちらかのみのバッテリーが切れた時には、もう片方のイヤホンで再生が継続され、もう片方のバッテリーが切れた時にはスマホ側で再生が停止します。バッテリー切れの時にスマホから音が鳴りだしたら困るなんてレビュー記事も見ましたが、少なくともAndroidでは、Bluetoothイヤホンのバッテリーが切れたときにはスマホ側で音楽が停止しますので、そんなことにはなりません。
充電時間も計測してみました。充電ケースは満充電、イヤホンはバッテリーが空になって停止した状態から、イヤホンが満充電されるまでです。
経過時間 | 左 | 右 | ケース |
---|---|---|---|
0分 | 7% | 7% | 100% |
15分 | 46% | 46% | 81% |
30分 | 75% | 76% | 66% |
35分 | 82% | 82% | 63% |
40分 | 89% | 89% | 59% |
45分 | 94% | 94% | 57% |
50分 | 100% | 100% | 55% |
イヤホンがバッテリー切れで停止してから充電ケースで充電
後半の方は計測間隔が短くなっていてわかりにくいので、グラフにしてみました。
ケースに入れてすぐに表示されたイヤホンのバッテリー容量は、なぜか7%でした。そこから50分ほどで満充電となりました。イヤホンを一回満充電にするためには充電ケースのバッテリーを45%使用しましたので、2回ちょっと充電できる計算です。
別途計測したデータでは、2時間再生するのに必要なイヤホンのバッテリー量は35~40%程度でした。最初の15分で39%を充電できていますので、公称値の「15分の充電で2時間再生」はクリアできています。バッテリー関連の数値はどれも謳い文句以上です。
充電ケースとイヤホンのバッテリーが空になった状態で、充電器に繋いでの充電時間も計測してみました。
経過時間 | 左 | 右 | ケース |
---|---|---|---|
0分 | 10% | 10% | 5% |
15分 | 38% | 39% | 9% |
30分 | 73% | 71% | 12% |
40分 | 87% | 85% | 16% |
50分 | 97% | 95% | 18% |
55分 | 100% | 100% | 19% |
1時間 | 100% | 100% | 21% |
2時間 | 100% | 100% | 37% |
3時間 | 100% | 100% | 53% |
4時間 | 100% | 100% | 69% |
5時間 | 100% | 100% | 85% |
6時間 | 100% | 100% | 100% |
イヤホンと充電ケースのバッテリー切れから充電器で充電
こちらも計測間隔が途中で変わるのでグラフにしています。
先ほどのように、充電開始直後のバッテリー残量はなぜか0%ではなく、充電ケースが5%、イヤホンが10%と表示されました。そこから50分ちょっとでイヤホンが満充電、6時間程度で充電ケースが満充電となりました。充電ケースの充電速度は早くはありませんが、夜間にバッテリーをいたわりながらゆっくり充電してくれれば十分かなと思います。
充電時の電力は5V、0.25Aの1.3W程度です。
Echo Budsのバッテリー容量は、充電ケースは450mAhであることが蓋の裏に記載されていますが、イヤホン本体のバッテリー容量の記載はありません。充電ケースでイヤホンは2回と15%を充電できましたので、単純計算では450mAh / 2.15 = 209mAがイヤホン2個のバッテリー容量ということになります(実際には充電時にロスが生じますので、これよりもそこそこ少ない値のはずです) 上記の充電ケースとイヤホンをフル充電した時の電圧電流チェッカーで計測した値は625mAhでしたので、大体合っているのでは思います。
リチュウムイオンバッテリーを搭載している機器というのは、バッテリーの寿命という逃れられない問題があり、とりわけBluetoothイヤホンのようなバッテリー容量が少ない機器はその影響を受けやすいものです。Bluetoothイヤホンは比較的短命であることが予想されますので、奮発して何万円もの製品を購入するのはどうかなと思います。逆にあまり安いものを購入してがっかり音質でも辛いものがありますし、この「1万円くらい」というラインが現実的なところではないでしょうか。
差別化と言う意味ではアレクサに対応していることになんらかの意味を見いだせればオンリーワンとなれると思いますが、残念ながらいまいち使いどころを思いつきません。ネットのレビューを見ていると、面白おかしくするために「ここが良い」「あれが悪い」と色々と言われていますが、良くも悪くも普通のイヤホンだと思います。1万円くらいの完全独立Bluetoothイヤホンとして「Echo Budsが最高!!」とは言いませんが、無難な選択肢の1つじゃないでしょうか。年に数回のセール価格なら「買い」だと思います。