残念ながら私のPCではありません。ゲーマーの甥っ子がバイトでお金を貯めたらしく、20万円前後でPCを組んで欲しいと頼まれました。インテル+NVIDIAで組みました。今回は甥っ子のPCをネタにして20万円PCの構成例とベンチマークや性能の目安などを紹介したいと思います。構成はざっくり第13世代 Core i7(13700K) + Z790マザー + DDR4メモリー32GB + RTX 3060Tiです。
爆速!爆熱!第13世代Core i7
CPUはRaptor LakeのCore i7(13700K)にしました。
正直なところゲーミングだけを考えればCore i5(13600K)でも良かったかも?と思いますが、入手前の時点ではRTX 3060Tiの性能を十分に引き出せるかわかりませんでしたし「せっかく、つよつよなPCを組むのにCore i5ってのもなぁ」というノリもありました。
グラボを搭載しますので、内蔵GPUを搭載していない13700KFで良いのですが、なにかのトラブル時などにグラボを外した状態でも動作チェックできたりしますので、手堅く内蔵GPUを搭載している13600Kをチョイスしました。今回は甥っ子のPCですので、なるべく手堅くいきます。入手時点では価格差も小さかったです。
K付きですので、CPUクーラーは付属していません。どうせ13700Kは純正のCPUクーラーなどでは冷やせないので必要ありませんけどね。そのCPUクーラーですが、最初は空冷クーラーで臨みましたが見事に撃沈。後日水冷クーラーを追加で用意することになりました。
13700KのTDPは驚愕の253Wです。これは第12世代 Core i7(12700K)の190Wから63Wも増加し、同じく第12世代 Core i9(12900K)の241Wをも上回ります。第13世代 Core i9(13900K)のTDPも同じ253Wですので、Core iで最凶のTDPとなりました。その分パフォーマンスも高く、13700Kは1世代前のCore i9である12900Kを10%前後上回るベンチマークを叩き出しています。オーバークロックも試してみたいとは思いましたが、あまりの爆熱ぶりにとても実用的な運用は厳しい感じでしたし、甥っ子のPCですのでやめておきました。
最終的にチョイスした簡易水冷クーラーはこれです。
360mmはオーバースペックかな?と思いつつ余裕をみたつもりでしたが、13700Kの前ではそれほど余裕もありませんでした。13700K恐るべし。
この時点では第13世代用の廉価版チップセットは未登場
マザーボードはMSIの「PRO Z790-P DDR4」です。第13世代対応のマザーボードで、入手時点では一番安かったものをチョイスしました。Z790チップセットを搭載したマザーボードは、超ザックリ言うと3万円コースと、5万円コースがあります。比較的高価な方のマザーの違いは、Wi-Fi 6やBluetoothなどの無線通信に対応していたり、オンボードオーディオがちょっと良かったりするくらいですので安価な方で十分です。そもそもZ790が上位グレードのチップセットですので不足などありません。
本当はもっと安価(1万円台)なBシリーズなどでも良いと思うのですが、入手時点では第13世代対応のチップセットはZ790しかリリースされていませんでした。
第13世代Coreのソケット形状であるLGA1700は、第12世代Coreと同一形状ですが、第12世代に対応した600シリーズのチップセットを搭載したマザーボードで、第13世代Coreを使用するにはBIOS(UEFI)アップデートが必要です。「ならアップデートすれば良いじゃない」と、私も当初は安価なB660搭載のマザーボードを考えていましたが、BIOSアップデートにはCPUが必要なのです。「第13世代Coreでは起動できない=BIOSアップデートができない」ということですので、BIOSアップデートのためだけに第12世代Coreが必要なのです。。。
パーツショップによっては店頭に行けばBIOSをアップデートしてくれるサービスを受けることができますが、通販では難しいです(通販でやってくれるショップもあるとかないとか)
ただ、決して無駄にお金を払う訳ではなく、上位グレードのチップセットを搭載しているマザーですので、PCI-Expressのレーン数が多かったり、その分だけM.2のスロット数が多かったり、有線ネットワークが2.5GbEだったりと差額分の価値はあります。
DDR5のメモリーは、まだ高価なうえに、メモリーというのはPCの構成要素ではとても高速な部品ですので、経験的にあまりトータルでのパフォーマンスには差がでないと感じています。Z790でもDDR4のメモリーを使用できるマザーボードがありますので、ここはケチりました。
ストレージはPCI-Express 4.0対応の中では入手時点で比較的安価な製品です。最近は超絶安価な中華製品があり、評判も良いようですので、自分のPCであれば試しにそういった製品にしてみたかもしれませんが、甥っ子のPCですので無難に信頼のおけるメーカーの製品をチョイスしました。SSDもメモリーも最近はグッと価格が落ちてきましたね。
ゲーミングPCの要であるグラボ
冒頭でも説明したようにグラボは頑張ってNVIDIAのRTX 3060Tiにしました。ゲーミング性能の要ですからね。
RTX 3060Tiと言っても色々なグラボがありますが、比較的安価な玄人志向の製品をチョイスしました。玄人志向というブランド名から尻込みする人もいるかもしれませんが、全然普通の製品です。恐らくGPUメーカーが設計したリファレンスモデルで、ドライバー類もNVIDIAの公式サイトからダウンロードしたものをインストールするだけです。気になる冷却ファンの騒音は、低負荷時には停止したり、高負荷でも静かでとても良い製品だと思います。
「PS5が手に入らないからと言っても、グラボも手に入らないしね」といった時期がありましたが、今はグラボも入手しやすくなり、大抵のゲームはSteamでリリースされますので、今あるPCにグラボを挿してゲームを楽しめるようになりました。私もRTX 3060Tiまではちょっと手が出ませんが、RTX 2060あたりの手頃なグラボを買ってみようかなぁ。
ゲームはもちろんのこと、RAW現像なども最近はGPUに依存する処理が増えていますしね。
電源やケースはちょいとケチる
RTX 3060Tiの推奨電源は650Wとのことですが、今回はCPUも消費電力の高い13700Kですので、余裕を見て750Wの容量のものをチョイスしました。
電源の容量は実際に消費する電力の倍が望ましいとされています。今回の構成では、ゲーム中に350Wを超える電力を消費しますので、結果的にジャストな電源容量となりました。グレードは「最低80PLUS Gold」とよく聞きますので、できればPLATINUMを選択したかったのですが、価格的に妥協しました。私のPCなどは更に低グレードのBRONZEとかSILVERとかですが、トラブルになったことはないので、まぁ大丈夫でしょう。
PCケースもケチりポイントで「まともな見栄え」で、安価なものをチョイスしました。サイドパネルがガラスではなく厚みが薄いアクリルだったりで高級感には欠けますが、シンプルなデザインで裏面配線にも対応していてコストパフォーマンスの高いケースだと思います。Amazonのレビューでも評価が高いですね。上面には280mmまで、前面には360mmまでの水冷ラジエターがマウントできます。ちなみに「光るのが良い?」と確認しましたが、甥っ子は質実剛健な男で、興味ないようでしたので光物にはコストを掛けていません。え?ピカピカ光らないとゲーミングPCじゃない?そうなのかな?そうなのかも。
ベンチマークや消費電力
いくつかベンチマークを計測してみました。ベンチマークはCPUやGPUで大体の値は決まってきますし、ネット上にはそれらのデータが溢れていますが「この構成でちゃんとスペック相応のベンチマークが出ますよ」という確認の意味合いです。
まずはフルHD(1920 x 1080)です。グラフィックス設定は基本的に最高設定です。Apex Legendsは訓練場を走り回って、ゲームで表示されるFPSを目視にて確認しています。瞬間的な最高値ではなく、大体常時出ている値です。ちなみに瞬間的な最高値は300弱まで出ます。
CINEBENCH R23 | Multi Core 30375 pts Single Core 2079pts |
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Apex Legends | 190FPS程度 |
FF14 ENDWALKER | 27454 非常に快適 |
3DMark Time Spy | 12093 |
次に4K(3840 x 2160)です。同じくグラフィックス設定は最高設定です。3DMark Time Spyは4K解像度に対応しているExtreme版が無料では利用できませんので未計測です。CINEBENCHはCPUのベンチマークですので、解像度で違いはでないはずですが一応計測しています。
CINEBENCH R23 | Multi Core 30512 pts Single Core 2072pts |
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Apex Legends | 90FPS程度 |
FF14 ENDWALKER | 9611 快適 |
3DMark Time Spy | ー |
いずれの解像度でも、ネットで見るのと同じくらいの値が出ていると思います。
4K解像度でのApex Legendsも90FPS前後が出ていれば、個人的には十分なのではないかなと思いますが、144Hz以上の高リフレッシュレートに対応したモニタを使っているガチ勢には不満もあるでしょう。一般的にRTX 3060Tiは「フルHDならば最高設定で快適にプレイできる。4Kは少し設定を落とす必要がある。」と言われていますので、このあたりもスペックなりのパフォーマンスが出ていると思います。
消費電力も計測してみました。フルHDと4Kの解像度で試してみましたが、考えてみれば解像度が低ければその分だけFPSが上がる訳で、常にGPUはフル回転ですので有意な違いは見られませんでした。
消費電力 | |
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アイドリング | 50W程度 |
CINEBENCH R23 | 380W程度 |
Apex Legends | 350W程度 |
FF14 ENDWALKER | 360W程度 |
3DMark Time Spy | 330W程度 |
GPUの方が消費電力が大きいイメージがありましたが、CPUに負荷がかかるCINEBENCH R23が380Wと最大の消費電力ですね。やはりRaptor Lakeヤバい。
オーダーは「20万前後で」とのことでしたが、今回の合計額はOS抜きで23万円コースになってしまいました。当初考えていたBシリーズのマザーが使えなくてZ790マザーになったり、簡易水冷のCPUクーラーなどでコストが嵩んでしまいました。ただ、その分だけ「つよつよPC」になったと思います。
コストを抑えたい場合はCPUをCore i5にしたり、近くにショップがあればマザーをBシリーズのBIOSアップデート品にしたり、電源を安価なものにしたりすれば20万切りもできると思います。