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日本の生産性の国際順位が低い理由は「労働者の給料が安いから」ではないだろうか?

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「日本人は生産性が悪いから給料が上がらない」とよく言われますが、本当にそうでしょうか? 私は逆ではないかと思うのです。別に「給料が安くてやる気がでないから」と言う訳ではありません。

そんなに日本の労働者は駄目なのだろうか?

2020年の日本の一人あたりの生産性の順位はOECD加盟国の38カ国中28位、G7では最下位というのは皆さん良く聞くと思います。以前に勤めていた会社では、年始に偉い人のスピーチで「お前ら労働者の生産性が低いのだ、生産性を上げろ」と毎年毎年聞かされました。どう思います?(いや、年始からそんなこと言われたら生産性下がるだろとかは置いておいて)

業界や会社によっても変わるとは思いますし、決して仕事の効率が良い会社とは思いませんでしたが、みんな一生懸命に働いているし、サービス残業しまくりでしたので、生産性が低いと言うのには違和感がありました。

ちなみに以下に順位表などがあります。


労働生産性の国際比較2021 – 日本生産性本部 より引用

もっとも「日本生産性本部」とかいう天下りで批判を受けちゃう団体が生産性などと、おくがましいとかいう真っ当な突っ込みはご遠慮ください。。。どの国とは言いませんが、あの国やその国よりも低いわけないだろとか思いませんか?

もちろん、「会議が多い」「過剰な品質・サービスを求められる」「長時間労働で効率が落ちている」「士気が低い」などと言われている問題はあるとは思いますし、それらがインプットを無駄に増加させているという側面はあると思いますが、それにしても順位を見ていて違和感を覚えます。みなさん、この順位を見て「なにかおかしい」とは思わないのでしょうか?みなさんの仕事はそんなに効率悪いのでしょうか?

そもそも何を「生産」しているのか?

生産性とは「インプットに対してのアウトプットの割合」です。「日本人はダラダラと無駄に残業する(インプットが多い)のに効率が悪いから仕事の成果(アウトプット)が少ない」といった感じの論法です。まぁ、そもそも、その残業は中小企業ではサービス残業であることが多いので、たとえ長時間労働で効率が落ちているとしても、トータルでの数値は高くなるのでは思うのですけどね。

しかし、いわゆる「日本の生産性は低い」といわれている順位を計測している「生産物」は、同ページ内のPDFの資料に記載されているように「GDP」です。GDPというのは、端的に言えば「売上」です。頑張って効率化して、単位時間あたりに製品を10倍作ろうが、100倍作ろうが、販売数もしくは単価が上がらなければGDP、つまりここで言うところの生産性は1mmも上がらないのです。もちろんその分だけ従業員の首を切って人件費=インプットを減らせば目先の生産性は上がるように思いますが、後述の理由で結局は、そういった考え方が日本の生産性を下げる原因になっていると思います。

誰が買っているのか?GDPにおける輸出依存度は?

「でも、日本は輸出国だから、日本人の購買力は影響が少ないのでは?」と思いますよね?私もそう思っていました。

まずは、2020年のGDP(2021年分はコロナ禍ということもあってサンプルとして不適当な気がしますので)です。下記の資料によると、2020年のGDPは535.5兆円とのことです。

国民経済計算(GDP統計) – 内閣府 より引用

次に、同じく2020年の輸出額です。下記資料によると、2020年(令和2年)の輸出額は68兆4067億円とのことです。


令和2年分貿易統計(速報)の概要 – 財務省貿易統計 より引用

単純に計算すると2020年の「GDPにしめる輸出の割合」は、なんと僅かに【12.8%】です。日本は輸出額が世界の4~5位を推移していますので、金額の大きさによって輸出大国と言われていますが、実はGDPに対する輸出依存度は20%にもみたず、「GDPにしめる輸出の割合」の国別のランキングでは、なんとびっくりの137位です。日本は世界でも有数の圧倒的に内需が大きい国なのです。

誰が悪いのだろうか?

このように、日本が国際的に劣っていると言われる生産性は、内需のボリュームゾーンである労働者の給与が低く、安いものを少量しか購入できない購買力の低さが原因ではないかと思うのです。いわゆる「経営者が求める生産性=安くたくさん作れる」は労働者の給料が安く、そこら辺の国に比べれば十分に自動化されていますので、国際的に日本は低くはないのではと推測できます。

もちろん、給料を上げれば会社が潰れるという経営者の話もわかります(内部留保はだいぶ膨らんでいるようですがね)卵が先か?鶏が先か?になるのですが、少しずつでも内需を高めていく方向にする方が、日本経済にとって良いのは間違いなさそうです。

この現状は格差を作ろうとする社会のシステムや、そのシステムを作った権力者(=お金持ち)、労働者の給料を下げてきた経営者が一方的に悪いかと言えば、そうとも言えない部分があると思います。結局は、お客様の立場になると急に神様になってしまったり、思考停止してその給料を受け入れてきた労働者にも問題はあると思います。無限に安くて良いものを求められれば、会社は労働者の給料を下げるしかありませんし、最近はストライキというのは聞きませんよね?私が子供の頃はストライキでちょいちょい公共交通機関が止まったりしていましたし、通っていた公立高校では教師のストライキにより丸1日自習になったことがありました。今の時代にそんなことをすればSNS等で袋叩きになるでしょう。労働者のストライキは、経営者に対する数少ない交渉手段なのですが、その労働者自身が、他の労働者がストライキをすると目先の迷惑に対して文句ばかりをSNSに書き込みます。まわりまわって自分の首を締めることになるというのに。

日本一の金持ちの経営者が「一般労働者の年収は100万円でも仕方ない」と堂々と言い放ちましたが、その一般労働者は休日にその人が経営する服屋に大挙して買い物に行くのですから、そりゃ労働者の年収も上がりませんよね。

もう手遅れな感じもしますが。。。

給料が低くてもデフレで物が安いからそれほど困らないという意見もありました。私も余裕のない層ですので、安いものを買って生活してきました。しかし、国際的な商品はどうしても海外の基準で高価になっていきますし、この流れが進めば資源を輸入に頼っている日本では必ず破綻します。現実に今、原油や原材料の価格高騰により急速にインフレ化していて、このままでは給料は上がらないのに物価は上がるで酷いことになりそうです。こういった現象を「スタグフレーション」というらしいです。かなり最悪めなシナリオです。

この記事では、できるだけソースを提示して考察しているつもりですが、私の考察が正しいかはわかりません。不足している要素もあるかもしれません。「これが真実である」と言うつもりもありません。大切なのは、ひとりひとりが自分なりに調べて考えてみることだと思います。