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QLCのSSDは、そんなに寿命が短いのか?

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SSDには登場当初から書込回数に起因する寿命があることは広く知られてきました。特に最近出回り始めた1メモリーセルに4bitの情報を保存できるQLCは、それまで主流だった3bitのTLCに比べて段違いにこの書込可能な回数が少ないため、QLCと言うだけで「安いけど、すぐに壊れるから買っちゃダメ」と言われています。本当にそうなのでしょうか?

QLCとは?TLCとなにが違うのか?

半導体にデータを保存する最小のブロックをメモリーセルと言います。半導体の製造コストはシリコンの面積に大きく影響をうけますので、このメモリーセルを小さくすることでコストダウンしてきたのですが、それも限界が見えてきました。そこで、近年のSSDでは1セルに記録できる情報量を増やしています。現在主流のTLC(トリプルレベルセル)では1セルに3bitを記録できますが、QLC(クアッドレベルセル)では4bitを記録できます。ちなみに1bitしか記録できないものをSLC(シングルレベルセル)、2bitを記録できるものをMLC(マルチレベルセル)と呼びます。このように1セルに複数bitの情報を記録することを「多値化」と呼んでいます。

1セルをコップに見立てると、SLCは「水が入っていれば1、入っていなければ0」で1bitなのですが、MLCになると「水が1/4以下なら0、1/4~1/2なら1、1/2~3/4なら2、3/4以上入っていれば3」と2bit=4倍の情報、TLCになるとこの刻みが3bit=8倍、QLCになると4bit=16倍となります。これを水の代わりに電気でやっているのですが、電気を蓄えている素子は書き込むたびに劣化して、この刻みの正確性が衰えていきます。「1入れるはずが15/16しか入らなかった」となった時に、SLCでは問題なく「1」と判定できますが、16段階に多値化されているQLCでは「15/16」と判定してしまいます。

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つまり、メモリーセルの電気的な劣化具合はどの方式でも同じなのですが、細かく刻んでいる方が早く劣化の影響を受け始めるということでしょう。

そして、その影響が出始めるとされている書込量をTBWという数値で表しています。1TBWは「このSSDに1TBを書き込むことができる」という単位です。QLCの1TBのSSDでは一般的に200TBWくらいと言われています。つまり「そのSSDに合計で200TBを書き込む(1セルに200回書き込む)までは保証します」という意味です。

SiliconPower SSD TBW

例えば上のリンク先の資料によると、シリコンパワーの1TBのSSDでは、最近発売したQLC版の「SP01KGBP34UD7005」(資料ではUD70の1TB)では260TBWとなっています。

記事執筆時点で、価格的に1.5倍くらいする上位製品でTLC版の「SP001TBP34A80M28」(資料ではP34A08の1TB)では1665TBWと桁違いの耐久性です。

確かにこの数値を見るとQLCのSSDの寿命に不安を感じますね。

実際にSSDの書込量はどれくらいのペースで伸びるものなのか?

問題となるのは、実際の使用状況で260TBWにどれくらいの期間で達するかということです。例えば、音楽や動画データの保存用ドライブであれば、頻繁にファイルを書き換えることはないので、まず大丈夫だと言えるでしょう。しかしブラウザのキャッシュや、OSのページングファイル、ネットからダウンロードしたファイルの書込先となる起動ディスク(Cドライブ)はヤバそうな感じがしますよね?

そこで、私のPCのSSDの運用データを見てみましょう。このPCの起動ディスク(Cドライブ)は2017年1月に換装したSSDです。期間にして3年9ヶ月、総稼働時間は4822時間ですので、毎日3時間半使っている計算です。ネットサーフィンをしたり、プログラミングをしたり、動画を見たり、音楽を聴いたり、写真のレタッチをしたり、もちろん、このブログの執筆もしています。

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そのような使用状況で総書込量は24,909GB=24TBです。わずかに24TBです。前述のようにキャッシュなどで頻繁に書き込まれているはずですが、サイズが小さいので大した量にはならないのですね。3年9ヶ月で24TBWということは、260TBWに達するには40年くらいかかります。

俺が先に死ぬわ!!

260TBWは問題となるのか?

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上記で示した実際の使用データを見ても、とても260TBWを短期間で使い切るとは思えません。

SSDは同じセルに書込が集中しないように書込箇所を平準化する制御を行っていますので、書込が1箇所に集中するようなこともありません。しかし、空き領域にしか書込は行われませんので、50%の空き領域では理論上TBWは半分になってしまうというのは理屈なのですが、このTBWはメーカーの「保証値」なのです。そんなことは折込済みでしょうから、十分な余裕を見込んでいる数値のはずです。実際に壊れるまで書込み続けるという検証のデータを見たことがありますが、実測値は文字通り桁違いに大きかったようです。

また、寿命に達した場合でもHDDのように突然死する訳ではありません。どこかにデータの不整合が出たり、書込エラーが発生したり、制御によっては不良のセルを切り離して容量が減っていったりと少しずつ症状が悪くなるはずです。しかも書込済のデータが破損するわけではありませんので対処のしようはあります。そもそも、上記のように寿命は十分と考えられますので、SSDの寿命が来る前には更に大容量かつ安価になった製品に乗り換えているでしょう。

QLCと聞くと脊髄反射で「寿命が短いからダメ!」と大げさに騒ぐ人がいますが、実際の運用データやネットにあるレビューなどを調べていくと、現実的には問題にならないであろうというデータがほとんどです。少なくとも数年前まで皆さんが使っていたHDDと比較すれば、圧倒的に寿命が長いのは間違いありません。

このように、少なくとも寿命の面でQLCであることを、それほど気にする必要はないのではというのが私の結論です。TLCも登場した頃は「TLCの寿命はMLCの1/10で、1~2年の寿命!」なんて言われていました。みなさんちょっとビビりすぎなのではないでしょうか。もちろん耐久性以外のスペックも含めてTLCの方が良いのは間違いありません。特にQLCは容量単価が安い代わりに書き込み速度が遅いので、大容量が欲しいデータの倉庫やゲームのインストール先にはQLCを、起動ドライブにはTLCをと使い分けたり、SSDは価格変動が大きい製品ですので、その時の価格差を考えてチョイスすれば良いと思います。

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