NVMe M.2のSSDが最近主流となってきましたが、少し古かったり安価なモデルのマザーボードだと、M.2スロットがなかったり、NVMeには対応していなかったり(SATAのみに対応)、NVMe M.2には対応しているけどレーン数がx2の製品があります。そんなマザーボードでもNVMe M.2の高速なSSDを使用することができる、PCIe x4スロットに挿すアダプターボードを入手しましたのでレビューしたいと思います。PCIe x4スロットであれば規格上は高速なNVMe M.2のSSDの速度をフルに引き出せるはずですが、本当にフルスピード出るのでしょうか?
マザボのM.2はNVMeに対応していたがx4に対応してなかった。。
例えば私のPCは第8世代Coreプロセッサーですが、安価なマザーボードで組んでいます。M.2スロットは2つ搭載されていて、NVMe(PCI Express接続)にも対応していますが、レーン数が3.0 x2となっています。
PCI Express 3.0はレーンと呼ばれる1組のデータ転送経路を複数束ねることで速度を向上することができます。1レーンあたりの転送速度は8Gbps(=1024MB/s)ですので、x2では16Gbps(=2048MB/s)となります。これではx4に対応した3000~4000MB/sの高速なSSDの性能を活かしきれません(x2のNVMe M.2スロットにx4のSSDを挿しても、速度がx2となるだけで使用することはできます)
PCI Expressと聞いて「どこかで聞いたことがあるな」と思いますよね。そうです。NVMeのSSDはマザーボードの拡張スロットに挿すVGAなどと同じ転送方式なのです。
私のマザーボードにはPCI Express 3.0のx16スロットが2つ、x1スロットが4つあります(ケーブルに1つ隠れています) このx16のスロットであればx4のスピードに対応できます(このマザーボードではなぜか2つ目のx16スロットはx2の速度しか対応していないのですが。。。コストダウンのためだそうです)
そこでNVMeのSSDをPCI Expressの拡張スロットに挿すためのアダプターボードの登場です。PCI Express 3.0 x4以上のPCI Express 3.0拡張スロットであれば、安価なマザーボードにも1本くらいは実装されているでしょう。
私が入手したのはこの製品です。
とても安価で助かりますが、本当に大丈夫?と思いながらポチりました。最近は上位製品としてPCI Express 4.0に対応した、更に高速なSSDも登場していますが、当然ながら本製品ではその性能は引き出せません(PCI Express 4.0は下位互換性がありますので使用することはできます)
実測!M.2→PCIe変換ボードは使い物になるのか?
それでは早速、実際の転送速度を見てみましょう。使用するSSDはこれです。
シリコンパワーの新製品で発売当初は割安感があったのですが、売れ行きが良かったから値上げされてしまいましたね。。。最大読込速度が3400MB/sで書込速度は1900MB/sですので、書込速度はx2レベルですが、読込速度の最高速を出すためにはx4が必要です。
まずは、マザーボードに実装されているM.2スロットに挿した時のベンチマークです。
一応3回計測していますが、有意な差はありません。書込速度はスペックに近い値が出ていますが、読込速度は予定通りx2の速度で頭打ちになっています。書込速度とほぼ変わらないことからマザーボード側の制限であると予想ができます。
それでは、本カードに挿して計測したベンチマークです。
読込速度、書込速度共に、SSDのスペックに近い値が出ています。書込速度も向上していますので、このマザーボードのM.2スロットでは若干ロスが大きいのでしょう。このように本カードを使用すれば、PCI Express 3.0 x4(読込/書込速度4096MB/s)までのSSDであれば、その性能を引き出せることが確認できました。
SSDは冷却が必要なのか?ヒートシンクの効果は?
本製品にはヒートシンクと熱伝導シート(2枚付属していますが使用するのは1枚です)が付属しています。最近の高速なSSDは発熱量も多いようで、一定以上の温度になると速度を落として発熱を抑える「サーマルスロットルリング」という制御が入ります。
実際にベンチマーク中の温度を計測してヒートシンクが必要なのか?ヒートシンクは効果があるのかを検証してみました。まずは、ヒートシンクなしでの計測です。
左がアイドリング、右がベンチマーク中です。見ての通り温度は60℃を超えてしまい、赤で表示されています。一般的にSSDの温度は70℃が目安と言われていますので、まだ余裕がありベンチマーク上の速度低下もしていませんので、サーマルスロットルリングの制御は入っていないようです。ただ、夏場などは不安を感じますね。
次にヒートシンクを装着した状態での計測です。
アイドリングからの上昇温度は8℃だけと効果絶大です。これは装着しない手はないですね。
余談ですが、別途、SATA接続の低速なSSDも試してみましたが、ベンチマーク中でも40℃程度までしか発熱しませんでしたので、SATA接続のSSDではヒートシンクは不要だと思いますが、上記のように35℃まで低下していますので効果はあります。
まとめ
価格が安いこともあって、かなり懐疑的に見ていたのですが速度はバッチリ出ますし、付属のヒートシンクと熱伝導シートも十分な効果があります。すでに1ヶ月くらい使用していますが、全く問題は発生していません。
ドライバーなどのインストールは必要なく、物理的に装着するだけです。カードの面積は小さいのでVGAなどのファンの邪魔にもなりにくいでしょう。ただし、試してはいませんが、起動ディスクには使用できないようです。